東京都江東区の社会保険労務士事務所です。人事労務全般、特に介護を得意分野にしております。

サービス残業

サービス残業

今盛んに問題になっているサービス残業問題を取り上げました。

サービス残業は怖い!

サービス残業についての新聞等のマスコミ報道が盛んに行われています。
 「○○会社××億円の未払い賃金の支払い」

このように、労基署の是正勧告や指導を受けてサービス残業を支払った事例は主要なものでは次のようなものがあります。

 関西電力  約23億円(11,000人)
 東京電力  約69億円(26,000人)
 中部電力  約65億円(12,000人)
 スタッフサービス  約54億円(3,400人)
 富士火災  約3億円(1,000人)
 ホテルグランヴィア  約2億円(400人)
 ミズノ  約19億円(2,000人)
 近畿大学  約1億円(560人)

さて、サービス残業とは正規の賃金である時間外労働手当が支払われない時間外労働のことです。つまり、サービスで残業させることです。

サービス残業は、使用者がその立場を用いて労働者に時間外労働を強いる場合が一般的です。
(使用者に強いる意識はないとしても、結果的に割増賃金を支払っていないということはそうとられても仕方がない)

近年は、企業の人件費抑制と人員の合理化によって、非正規社員への代替による正規雇用社員への業務のしわ寄せという状況もあります。

サービス残業で恐ろしいのは、サービス残業をさせていた労働者(退職者)が労基署に駆け込めば、「2年に遡って割増賃金を支払え」という是正勧告が出ます。駆け込んだ一人ではなくて、その他の全員に対しても出ます。

最悪の場合、逮捕されることもあります。

サービス残業が事実であれば、逃げも隠れもできないのです。
役所は会社がつぶれてもお構いなしです。

そして、裁判になった場合は、2年分の割増賃金に同額の賦課金が付きます。

これが10人になったら、20人になったら・・・・・

例えば、つぎのような場合どうなるのでしょうか。

A会社、X社員
  1日の所定労働時間:8時間
  1か月の平均所定労働日数:22日
  月給:30万円
  1日平均3時間のサービス残業をしていたら、

1月の残業代は154,687円となります。

※時間外労働手当=1時間当たり単価×時間外労働時間
※1時間当たり単価=通常の1時間当たり賃金額×1.25
(月額給与額÷月平均所定労働時間)

これが2年分になると3,712,500円になります。

裁判になると、3,712,500×2=7,425,000円になります。

この会社に、他にも社員が何人もいたら、それだけ金額は膨れ上がっていきます。

自分の会社は、残業代込みの賃金になっているから大丈夫?と考えていませんか。

この場合は、書面で明示または就業規則で規定していないと駄目!なのです。

このように、残業代を払ってないことは、非常に大きなリスクを負担していることを覚悟しておかなければなりません。

サービス残業の法律上の取扱い

ここで、法律上の取扱いについて触れておきます。

「雇用」について、民法では、「当事者の一方が相手方に対して労務に服することを約し相手方がこれにその報酬を与ふることを約するによりてその効力を生す」(民法第623条)となっています。

すなわち、労働者は使用者に従事して労務を提供し、その見返りとして報酬が得られることをいっています。

ここでは、労働と報酬が相対の関係になっています。
つまり、使用者は労働者の働いた分の賃金を支払わなければならないことから、所定労働時間を超えたら時間外労働手当を支払わなければなりません。

そして、労働者の権利を守るための取り締まり法規である労働基準法では、さらに、法定時間(1日8時間、週40時間)を超えて働かせてはならないと規定されています。

超えて働かせると、罰則が科せられます。

超えて働かせる場合には、36協定を締結し、労基署に届出ることも必要です。
(これをしておけば処罰が免除されます。)

また、法定労働時間を超える場合、深夜・休日に労働させた場合には法定の割増賃金を支払わなければならないことも労働基準法に規定があります。

これを支払わないと違法です。
支払わないと民事上・刑事上の責任を追及されます。

ということで、労働基準監督署や裁判所が関与してくることになります。
労基署の場合は、指導、是正勧告、逮捕であり、
裁判所の場合は、判決(未払い賃金+2年分の法定利息+賦課金の支払い命令)です。

サービス残業の実態

それでは、どのような理由でサービス残業が発生するのでしょうか?
その理由と実態を解明することで残業を削減する方法が変わってきます。

1.会社の体制や組織運営上の問題
①仕事量そのものが多い。
②もともと残業を前提とした業務体制になっている。
③特定個人への仕事の偏り、仕事の配分に問題がある場合。
④業務に繁閑の差がある。
⑤取引先の都合

2.人事制度上の問題
①残業手当の必要性(生活費の一部)
②人事評価制度での取り上げ(残業していると評価される)
③年俸制

3.つきあい残業
①帰宅拒否症候群
②単身赴任(帰ってもしょうがない)
③なあなあ、つきあい残業の発生

4.残業システム上の問題
①半端な労働時間の切捨て→サービス残業の発生
②残業申請をさせないような内規の設定
例:「1日3時間以上、月30時間以上の残業の禁止」
  「課毎に200時間の残業枠の設定」
→この時間を超えても残業手当を支払わない→サービス残業の発生
③職場での残業は認められないが、仕事の残業は求められている。
→仕事の持ち帰り
④裁量労働制の採用
サービス残業隠しでの導入
→法律条文列挙以外での適用
→間違った運用
⑤変形労働制(手続き上に問題)
⑥残業手当の計算方法の誤り
⑦管理職への昇進
いわゆる「名ばかり管理職」や「偽装管理職」
⑧定時退社日や残業禁止期間の設定
例:定時帰宅奨励日、ノー残業日、時間外労働の一律禁止
→厚生労働省の通達には、単に時間外労働を指示していないということだけをもって、使用者に理があるあるなどとはいえないとされています。
⑨定額残業手当制
⑩振替休日未消化

サービス残業対策

サービス残業対策は、次のような事項について進める必要があります。

1.残業に関する次のような事項について、正しい法律知識 を持っておく必要があります。

・労働時間:使用者の指揮命令下にある時間
・手待ち時間
・研修の時間?
・残業単価の計算方法
・残業から除外できるもの、除外できないもの
・残業割増率
・残業代の計算方法
・法定労働時間と所定労働時間
36協定
・定額の残業手当
・残業手当込み賃金

2.残業時間の削減策

・労働時間管理の点検・見直し
・残業は原則禁止とする。
・ノー残業デー
・許可制の採用
・タイムカードの管理厳格化:仕事の始めと終わりに押させる。
・休憩時間管理
・代休制度の活用

3.労働時間管理制度

・変形労働時間制
・フレックスタイム制
・裁量労働制
・みなし時間外手当制度の採用

4.規則・規程類の見直し

・管理監督者規定
・基本給と賞与との関連見直し
就業規則・関連規定、36協定等の見直し
・安全衛生管理体制の見直し(長時間労働・メンタルヘルスの面から)

5.業務フロー・組織の見直し

・5Sの徹底
・業務の効率化
・提案制度の導入
・配置の適正化
・業務配分の見直し
・新たな人材の採用
・社員のスキルアップと意識改革

当事務所では、サービス残業問題でお悩みの方のために、サービス残業で問題を起こさないためのシステム設計や就業規則等の作成を行っています。

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