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適格退職年金制度の廃止

適格退職年金制度の廃止

(1)企業年金制度の再編
別項でも述べましたが、適格退職年金制度は平成24年3月末を持って廃止されることになりました。

これに伴い、企業年金は確定給付制度としての厚生年金基金、確定給付企業年金(基金型と規約型)の三つ、確定拠出制度としての確定拠出年金(企業型と個人型)の二つ、計五つに再編されました。

(2)適格退職金制度廃止の理由

①積立不足の発生
適格退職年金は、将来の退職金の支払いに備え、一定の掛金を計画的に外部に積み立てる「事前積み立て方式」を採っています。

この場合、一定の運用収益を見込んで積立を行います。
この運用収益は、当初予定利率5.5%という数字を用いて算出されました。
つまり、5.5%で運用できることが前提となって、掛金や退職金額が決まっていました。

しかし、この運用収益と実際に積立金につけられる運用収益は別です。
実際に、生保会社が一般勘定で運用する場合、運用収益は0.75%程度に過ぎません。
この予定運用収益と実際の運用収益との差額が積立不足になっています。

特に、低金利が継続していることもあり、実際の運用収益が低下しています。
 
したがって、必要な退職年金額を充たすためには、運用収益が低下した分、保険料(掛金)を増やさなければなりません。

この保険料(掛金)は、会社の責任と負担で増やすしかありません。
何故なら、既に述べたように、退職年金規定で定められた退職金額を支給する義務は会社にあるからです。

こうして、保険料(掛金)を増額することで、積立不足は解消されますが、当初の掛金と比べると何倍にも膨れ上がります。

そして、会社が掛金の引き上げに応じることなく、保険料(掛金)の引き上げが放置されたことが積立不足の要因です。

さらに、適格退職年金の仕組みが、5年以内の期間ごとに行われる財政再計算の時しか保険料(掛金)の見直しができないことにも関係していますが、そもそも一番の問題はそのような積立不足が放置され、積立不足の防止・解消を図る決まりが適格退職年金に備わっていなかったという点にあります。

②受給権の保護が不十分
前記のように、結果的に制度上の積立不足があっても、そのままの状態で適格退職年金が継続され、将来の退職金の支払いに重大な影響を及ぼす危険性がありました。

また、別項でも述べましたが、適格退職年金の解約は事業主単独でも行えるため、受給者である社員が知らないうちに解約されているような事態もありました。
このように、受給権の保護が不十分だったのです。

③企業年金制度整備の必要性
上記のような制度上の欠陥もあり、また、他の年金制度とは所管が異なる適格退職年金制度(適格退職年金は国税庁で、他の制度は厚生労働省)を廃止し、新たに同一の枠組みのもとに企業年金制度を整備する必要があったのです。

(3)中小企業への影響
適格退職年金により退職金の外部積立を行っている会社は、これに代わる資金調達手段を講じなければなりません。

別項で述べたように、退職金引当金制度が廃止されたため、新たな外部積立金制度を模索しなければならなくなりました。

適格退職年金制度が廃止されても、退職金規定は厳然として残っていることについては、既に述べたとおりです。

適格退職年金を解約した場合の返戻金は、社員に直接渡され、一時所得になり、課税されるという点です。

解約返戻金を受け取った社員は、確定申告を行わなければなりませんが、一時所得と退職所得と比べた場合、税法上一時所得の方がきわめて不利な取り扱いを受けます。

こうした形で発生する所得税や住民税の負担は、誰が行うかという問題です。

そもそも適格退職年金を解約しなければ、解約による一時所得は発生しないため、社員にその負担を課すことはできないでしょう。

特に、解約返戻金を退職金の前払いとして処理した場合には、その負担増過分は会社が負担するべきであると考えます。

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